新社会人が知っておくべきビジネスメールの基本マナー
今回は、ビジネスメールにおけるマナーの基本をご紹介します。
ビジネスシーンにおいて、重要な連絡手段となっているメール。毎日、大量のメールを処理する必要性のある方も多いかと思います。
メールは便利なツールでもありますが、顔が見えないコミュニケーション手段であるために、気づかぬうちに相手を不快にさせてしまうケースもあるかもしれません。メールを有効に活用するためには、ビジネスにおけるメールのマナーを理解しておく必要があるでしょう。
実際のところ、メールの適切な書き方はケースバイケースです。しかし、マナーの基本が頭に入っていなければ、適切な選択をすることも難しくなってしまいます。マナーの基本を覚えておくことで、トラブルを避けるだけでなく、メールの返信にかかる時間を効率化することもできるはずです。
社会人になったばかりでマナーに不安がある方はもちろん、マナーはバッチリという方も、ビジネスメールの基本を確認しておきましょう。
敬語を正しく使い分ける
ビジネスメールにおいて必須となるのが、敬語の知識です。敬語にも種類があるので、状況に応じて使い分けなければいけません。
- 尊敬語
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目上の人に使います。
例)「言う→おっしゃる」、「行く→いらっしゃる」など。
- 謙譲語
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自分を下げて、相手を立てる時に使います。
例)「言う→申し上げる」、「行く→うかがう」など。
- 丁寧語
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丁寧に伝えたい時に使います。
例)です・ます、ございます、「連絡→ご連絡」など。
この使い分け方を知っておかないと、敬語を使っているつもりでも、相手にとって失礼な言葉になることもあるので注意しましょう。
例えば、「先日○○様が、そのように申されていたので~」という言葉。一見すると、丁寧な言い回しのようにも思えます。しかし、ここで使われている「申す」は「言う」の謙譲語にあたります。
「謙譲語」は、自分がへりくだることで、相手への敬意を示す言葉です。このケースだと、「言っていた」のは「○○様」になりますよね。そこで謙譲語を使ってしまうと、相手を下げる言い回しになってしまうのです。
自分では丁寧にしているつもりが、知らず知らずのうちに相手を不快にさせることもあります。慣れないうちは、意味を確認しながらメールを作成するようにしましょう。複雑に思える敬語ですが、その言葉の対象が誰になるのかを考えると、混乱しないで済むかもしれません。
敬語に不安がある方は、1冊でもかんたんな敬語の本を読んでおくことをおすすめします。基礎知識を入れておくことで、使うべき敬語を選ぶのも楽になるはずです。
宛名の書き方にもマナーがある
メールは、宛名から書き始めます。宛名の書き方にもマナーがあるので、確認しておきましょう。基本の形は、会社名→部署名→役職→名前(敬称)の順番です。
社外メールの例
○○株式会社
△△部
部長 一目太郎 様
必ずしも、フルネームで名前を記載する必要があるわけではありません。メールを送る相手との関係性も考慮しながら、適切な形で記載しましょう。
また、役職名自体が敬称でもあるのでマナー上は下記のような書き方でも問題ありません。
社内メールの例
△△部
一目部長
件名で内容が分かるように
社内・社外を問わず、メールの件名は必ず書きましょう。具体的な内容が分かる件名にすることが大切です。
悪い例
- 「本日はありがとうございました。」
- 「お世話になっております。○○株式会社の一目です。」
これでは何の用件であるのか、件名を見ただけで判別できません。特に1番であれば、「迷惑メール」と間違えられて開封されなかったり、ごみ箱に直行というのもあり得ます。
「2月19日営業会議、時間変更のご相談」
「(製品名)のご発注の件」
上記のような形で、できる限り具体的に、かつシンプルな件名にすることを心がけましょう。具体的にしようとするあまり、無駄に長い件名にする必要はありません。
24時間以内の返信を心がける
ビジネスメールの返信は、早ければ早いほど良いとされています。何時間以内の返信であれば「早い・遅い」と感じるのかは、人により様々です。しかし、最低でも24時間以内には返信するようにしましょう。
忘れがちなことですが、メールの到達率は100%ではありませんし、迷惑メールボックスに入ってしまって気づかないというケースも多々あります。そのような性質を持つ電子メール、ずっと返信がなければ不安になってくるものです。
できる限り、早めの返信を心がけることが大切です。そうすることで相手も安心できますし、素早いレスポンスは相手の信頼を得ることにも繋がります。
しかし、他部署や上司への確認が必要など、返信に時間がかかるケースもあるかもしれません。そういった場合には、メールを受け取った旨の返信は入れておきましょう。
内容について現在確認中であり、いつごろ返答ができそうかといったことを伝えるだけでも、印象はかなり変わります。
容量の大きいファイルを添付しない
添付ファイルの容量にも注意が必要です。メールに添付できるファイルの容量は無制限ではありません。
各サービスや企業の利用しているサーバーによって、受け付けることのできる容量は異なりますが、一般的なマナーとして、メール添付しても良いのは2~3MBくらいまでと言われています。それ以上のファイルを送る時は、ファイル転送サービスなどを利用することも検討しましょう。
大容量のファイルを添付した場合、環境によっては、メールの受信自体ができなかったり、受信にとても時間がかかってしまうケースもあります。あなたのメールだけが遅れるのではなく、全てのメール受信が遅延することもあるので、注意してください。
また、添付ファイルの取り扱いについては、社内規定が設けられている場合も多いので、先輩や上司の方に確認すると良いでしょう。
メールだけで終わらせないことも大事
本当に大事な用件や、緊急の内容については、メールだけでなく電話も利用しましょう。
メールはいつでも送ることができますし、受信側にとっても負担の少ない、便利な連絡手段です。しかし、メールを送っているからといって、必ず読んでもらえているかは分かりません。
返信がなかなか無いようであれば、気づいてもらえていない可能性もあります。後から「言った、言わない」という事態になることを避けるためにも、直接フォローすることの必要性も覚えておきましょう。
また、トラブル時の謝罪や、誰かにお願いをする際にも、電話や対面して伝えることの方が効果的であるケースもあります。相手やシーンに合わせて、適切な連絡手段を用いることが重要です。
曖昧な表現は避ける
メールに限った話ではありませんが、「曖昧な表現」は思わぬトラブルを生む可能性があります。
「早めに対応します。」というような表現は、避けた方が無難です。相手がどのように受け取るかが分からないからです。自分自身では「今日中に対応すれば良い」と考えていたとしても、受け取る相手は「1~2時間以内に対応してくれるだろう」と考えているかもしれません。
はっきりとした表現を使うことを心がけましょう。
自分がはっきりとした表現を使っていても、相手が濁してくることもあります。疑問に思うことや、具体的に分からないことは、自ら確認することも大切です。
相手から「早めの対応をお願いします」と言われた場合には、具体的な納期を確認するようにしましょう。そういった意識がトラブルを防ぐことに繋がります。
クッション言葉を使う
何かをお断りする時や、お願いしたりする時には、「クッション言葉」を使いましょう。
- クッション言葉
-
「恐れ入りますが、~」
「お手数をおかけしますが、~」などの文頭に追加することで、文章の印象を和らげるための言葉。
メールは、文章だけでのコミュニケーションです。簡潔に分かりやすい文章にすることも大切ではありますが、用件だけを伝えようとすると、堅くて冷たい印象になってしまいます。
そこにクッション言葉を入れることによって、文章全体を柔らかい印象にすることができるのです。
ただし、多用しすぎると、文章全体が間延びしてしまったり、慇懃無礼な印象になってしまうこともあります。適切に利用することを意識しましょう。
まとめ
主要なメールマナーの基本をご紹介しました。今回ご紹介したもの以外にも、細かなマナーもたくさんあります。気になったことや疑問点は、積極的に調べてみると良いでしょう。
また、「伝えたいことはあるが、書き方が分からない」というような場合には、ネット検索してみることも良いかもしれません。色々な書き方例が見つかるので、参考になるはずです。
しかし業界や社風によって、言い回しが異なることもあります。業界によっては、社外とのメールであっても、堅すぎる文章では違和感があるというケースもあるのです。
常日頃から、身近な先輩や上司のメールをよく観察する癖をつけましょう。ご自身の環境に合った、上手な書き方を考えてみるのが大切です。